「息食動想」について

息をする。食べる。動く。想う。これら人間の最も基本的な活動を見直し、改善することが、より健康で幸せな生き方につながります。生活の中にあるいろいろな不具合も軽減されます。橋本先生の思想を受け継ぎ、佐藤竹栄流の「息食動想」のあれこれを、コラムにつづっていきます。

膝の裏から水が溜まる。膝関節を守るリハビリ運動。

前回のコラム変形性膝関節症の続きになります。膝に水が溜まったと聞かれたことはありませんか。歩行痛が続くので整形外科に行くと水が溜まっていますと言われた経験がある方も多いと思います。(参考:「番外編:膝に水がたまる初期症状の改善、膝の疲労の改善」)

膝関節内に炎症があると関節内の滑液が異常に増えます。自分で確認するには膝を伸ばし膝の皿(膝蓋骨)を触ると皿の周りがブヨブヨし膝の皿が浮いている感じになっています。多く溜まっていると歩行時の痛みが強くなりますので水を抜いてもらうことになります。

しかし、そこまで症状が進む以前に前兆があります。

続きを読む

ノルディックウォーキングという、すばらしいバランス回復の習慣。

2002年頃からノルディックウォーキングを毎朝していますので20年近くの日課になりました。始めたころは二本の杖で歩いている人はほとんどいませんでしたので、足でも痛めたの?スキーの練習?などと言われましたが、この頃やっと社会認知されたようです。

本格的なノルディックウォーキング用のポールもあれば、スキーストックのような持ち方で使うポールウォーキング用のポールもありますが共通の話としてご紹介します。

きれいな歩き方は(動画で見る操体法 第3部 生活動作を見直す > III. 歩き方)を参考にしていただきたいのですが、ノルディックウォーキングのポールを使うことでのメリットをご紹介します。

続きを読む

気持ちよく目覚めることが、良い睡眠をつくります。免疫力を朝の時間に準備する。

 朝から機嫌が悪く、周りに毒を撒き散らすように自分の機嫌の悪さを伝えてしまう態度の人がいます。そのことが自分の免疫力を下げることにつながっていることに気づいてはいないと思います。では、なぜ彼は、彼女は、朝から機嫌が悪いのでしょう。

 人間の自律神経の働きは交感神経と副交感神経の働きに分けられます。眠っている間は副交感神経が働きを強め、例えば内蔵のように、あなたの無意識のうちに働いている臓器の活動を活発にしています。それに対し交感神経は目覚めて活動している間に働きを強め意識的に働く体をスムーズに動かせるようにしています。
自律神経の働きはONとOFFではありません。時間帯によって、交感神経が少し活発に働いている時は、副交感神経はちょっと遠慮して働く感じです。 … 続きを読む

コラム 「所作(しょさ)を見直せば、身体(からだ)が変わる。」

『動画で見る操体法「毎日を元気に気分よく」第3部 生活動作を見直す』を見ていただきたいのですが、私はリハビリの為の特別な運動時間ではなく、毎日の生活動作を見直すことが、体を治すリハビリになり、体を守る予防運動になると考えています。 … 続きを読む

コラム「一番大事な時間、目覚めの顔マッサージ。」「顔の浮腫みが老化を早める。」

 『動画で見る操体法「毎日を元気に気分よく」第2部 お目覚めストレッチ』から

 政治家のおじさん方の顔を見ると、面の皮が厚いな!と思いますが、不機嫌な人ほど顔の浮腫みと深い皺が気になります。 … 続きを読む

『思い込みに支配されやすい前頭葉。楽な方向に動かす操体法で前頭葉を開放する。』

操体法の施術を初めて受けられる方が驚かれることは、楽な方向に体を動かすと体が緩むということです。

簡単な操体法の施術をやってみましょう。椅子に座った姿勢で右膝・左膝と足踏みした時にどちら側の膝が楽に上がるか比べます。楽な側に自分の手を置き、軽くおさえながら楽な側の膝を上げ、反対側の足は踏むように動かします。4~5回繰り返して比べると左右の動作で差がなくなり動きが楽になります。(動画IV. 座って仕上げの操体法参照)これは脳から筋肉に偏って出されていた「緊張しなさい」という情報が、拮抗する反対側の筋肉の働きを強めることでニュートラルな状態に戻ったためと考えられます。 … 続きを読む

足底筋が運動のスイッチ。足指もパァグゥで歩く。

足底筋がしっかり働く歩き方を意識することで運動能力は格段にアップします。以前のHPテキストやコラムでも歩き方を書いていますので細かなことは省きますが、年齢に関係なく足底筋をしっかり意識して使う歩き方が運動をするさいの体全体の協調的機能性のスイッチになります。 踵から足を着地させる時に足の指はパアに、踏み出すときは地面をつかむようにグウにします。 たったこれだけのことを意識することで立位歩行の安定感が良くなったことを体感できます。 運動中のバランス能力がアップします。 高齢になってからの歩行能力を改善することもできます。 さらに腕を振って歩く時には、前に出した手は軽く握りグウと、後ろに引いた手はパアと開きます。

噛むことは消化の始まり。

「百回噛めば薬になります」と百歳まで元気でおられた敬愛する橋本武先生がおっしゃっていたことを思い出します。考えてみれば食事をするときに、嚙み砕くという行為は自分の意志ですが、唾液が出る現象は不随意神経の働きですので消化器系の働きだと言えます。これは素晴らしい発見です。例えば呼吸という現象は無意識でも呼吸し意識的にも呼吸できることで自律神経の働きを意識的に働きかける唯一の方法であると紹介されることが多いのですが、咀嚼(そしゃく)すること食事を良く噛むことも唾液を多く出すことで不随意運動である消化器系に意識的に働きかける唯一方法であると言えます。しかも食事の質を選び旨味のある食事を良く咀嚼することで胃の負担を減らし小腸が喜ぶ食事をすることで腸内細菌も安定し腸内ホルモンバランスも良くなり体全体の機能的協調性を高めることができます。発生学的には腸をつくる神経細胞から脳が分化したと言われます。脳がつくるホルモンはすべて腸内環境でもつくられると言われています。腸活という言葉の意味はますます深いものがあるなと考えます。

薄毛にならないためのルーチンワーク

僕が20年前から続けている薄毛予防のルーチンワークをご紹介します。
⓵シャンプーの前に弱いシャワーで2分ぐらい充分に髪の汚れを流す。⓶シャンプーは泡立てるように使い地肌を絶対にこすらない。⓷リンスはすぐに流し落とす。⓸地肌をこすらないようにタオルで髪の水分を吸い取る。⓹ドライヤーで乾かし後は冷風で髪を冷やす。
⓵シャンプーしなくても普段の汚れは十分落ちます。⓶地肌をこすると毛根にある産毛をこすり抜くことになります。⓷リンスは逆性石鹸の働きですので長くなじませる必要はありません。⓸地肌をゴシゴシは厳禁です。⓹冷風でキューティクルが締まり艶が出ます。
1年続けると他人が見てもわかるくらいに薄毛が解消します。美容院理髪店でも「かゆいところないですか?」とゴシゴシされないように初めに「こすらないで!」と伝えましょう。

「知性は脳にあり理性は腸にある」

ジャン=アンリ・ファーブルはファーブル昆虫記の中で、ほとんどの昆虫たちが親にまったく育てられなくても卵から幼虫となると自然の営みとして食べものにありつき脱皮を重ね蛹となり、成虫になり食べものを変え、また卵を生むための最適な場所をつくり産卵することの不思議を語っています。昆虫の一生は学習ではなく自然の営みとしてオートマチックに進んでいきます。あの小さな脳にそれだけの情報が蓄えられているとは信じがたいと語っています。
今では成長の過程で出されるホルモンによって行動が支配されていると考えられていますが成長の過程でホルモンを変化させる場所はどこかというとそれは腸・消化器系であると推測されます。原始の生命には脳はなく腸がすべての行動を支配しています。昆虫も人間も腸の神経細胞と脳の神経細胞は同じであり腸と脳は同じホルモンをつくることが知られています。つまり昆虫の生命の営みは腸からのホルモンに影響を受けて巣をつくり食べものを選び生殖活動し排卵することを繰り返していると言えます。それが昆虫の理性です。昆虫の理性は個体または集団の遺伝子を継続し繁殖すること以外にありあせん。アリやハチなど社会性の昆虫は役割分担をつくり他の昆虫も利用し共生と寄生のバランスを保ちますが繁殖と遺伝子の継続がすべてです。
 人間社会の理性はだいぶ複雑です。繁殖を目的だけに社会性の集団をつくっていたのでは弱肉強食で最後には滅びを迎えます。よりよい社会性をつくることが人間の理性であると信じます。しかし個人としての理性はやはり昆虫と同じように腸(五臓六腑)に支配されるところが多いように考えられます。諺にも、断腸の思い はらわた煮えくりかえる 腹に据えかねる 腹が立つ 腹から笑う 腹の虫がおさまらない などなど気持ちと腸の具合をつなぎ合わせる言葉が多くあります。
 どんなに知性的な人でも腹痛には勝てません。より近しい人ほど機嫌の悪さが伝わってくるものです。腹痛などは急性的な症状ですから他人からもわかりやすい腸と気分をつなげる状態ですが、慢性の便秘や軟便などの症状を持っている人の腸と気分のつながりは他人からはわかりにくく本人も理解していないかもしれません。しかし腸と腸内細菌の活動が脳の働きに密接につながっていることはまぎれもない事実です。
 アメリカの少年院でバランスの取れた食事にするように改善したところ院内での暴力事件が減り落ち着いた生活をするようになったとマクロビオティックを提唱した久司道夫先生からお話を伺ったことを思い出します。
 私たち人類は肥大した前頭葉の支配によって自然に対し尊大な態度で生きていますが、個々の人間は食べることで生かされている自然の中の一部と考えれば「知性は脳にあり理性は腸にある」という考え方はどうですか。