動画で見る操体法「毎日を元気に気分よく」
第1部 家庭でできる操体法

このページの目次

プロローグ

毎日を元気に気分よく暮らしていくためには、自分の身体とコミュニケーションすることが大切です。このテキストでその方法を学んでいただければ幸いです。

操体法は、楽な方向に動かして治す『運動療法』です。楽な方向に動かすことで、筋肉の緊張をほぐし、ニュートラルな状態に戻します。

筋肉は勝手に緊張しているわけではなく、脳との情報のやり取りで緊張しています。痛い方向に動かすと、痛い痛いという信号が脳に送られます。すると脳は危ないと感じて、筋肉を緊張させて守ろうとします。逆に、楽な方向に動かすと、脳から出されていた緊張しなさいという信号が止められ、筋肉はリラックスします。

操体法は、体を楽な方向に動かすことで脳からの情報を変え、筋肉をリラックスさせる運動療法なのです。

ふだん皆さんは、痛い方向ばかりを気にして、つい痛い方向に動かしがちです。ストレッチングや柔軟体操でも、痛いところから始め、無理をしてでも動かすと動くようになると思い込み、その結果、毎日同じ痛みを繰り返しています。それは間違いです。まずは楽な方向に動かしてみましょう。

操体法は一人でも出来ますが、支えてくれる人がいると効果的で安定した力が出しやすくなります。

操体法は必ず足から始めます。なぜなら、足が土台だからです。頭は体に乗り、腕はぶら下がっていて、両足の動きは腰で連動しています。なので、土台となる足から始め、身体の柱に沿うように、骨盤、そして背骨へと順番にバランスを調整すると、思いのほか楽に、かつ劇的に身体のバランスを回復させることが出来ます。

操体法では、楽な方向に、楽な範囲で動かします。人に軽く抑えてもらうと、動かしやすくなります。

3・2・1と数えながら力を入れ、ストンと力を抜きます。それを3回繰り返してから、左右を比べてみましょう。もう少しかなと感じたら、また3回繰り返しましょう。それで良くならなければ、次の動きを試してください。

どちらも痛い、あるいはどちらも痛くなければ動かしません。またここまでなら外側の方が楽、内側の方が楽という感覚なら、楽なところまで動かして止めましょう。

操体法を一人でするときには、大きめのクッションなどを動かしたい方向に当てると、力を入れやすくなります。
操体法は自分の身体とのコミュニケーションですが、二人でお互いにサポートしながら出来れば、家族やチームでのコミュニケーション・ツールにもなります。是非お試しください。

I. まずは足から

1. 体のバランスの確認

初めにバランスを確認しましょう。うつ伏せで顔を真直ぐの時と右向き左向きとで足の長さの変化を見ましょう。首に何かの症状があると、右向き左向きで足の長さが変化します。腰や背中の高さや張りも確認します。

2. 足のマッサージ

このセクションでは、仰向けの姿勢で足のマッサージを行っていきます。

足指の付け根

足の指の付け根からマッサージを始めます。膝の裏に枕を入れて、踵(かかと)から足の甲を支え親指から順番に小指まで回すようにマッサージしていきます。

足裏の指圧

足の裏の指圧に移ります。強くなく軽いタッチで、押すと言うよりも抑える感じで指圧していきます。中足骨の骨と骨の間の土踏まずを踵まで、内側のライン、真ん中のライン、外側のラインと抑えるように指圧していきます。

足首

足首を回していきます。内側回し、外側回しで痛くない方向を確かめて回しましょう。足首を内側から支え、反対の手で脛スネの外側を抑えるように指圧していきます。

足首から足の付け根まで

続いて足首の外側を支え、反対の手で内側からフクロハギを包んで抑えるように指圧していきます。強く押してはいけません。膝を曲げ支えてあげながら、膝関節の周りから腿や股関節の周りまで、指先から手の平全体で抑えるように圧迫し揺らすようにマッサージします。

決して強く押してはいけません。筋肉を強く押す指圧は、細い繊維が集まって出来ている筋肉をブツブツと潰して痛めてしまいます。強く押しても深い所の筋肉はゆるみませんが、抑えるように圧迫して揺らしてあげると深い筋肉まで緩めることが出来ます。


私の治療では、この気持ちの良いリラックスできるマッサージの間に、患者さんとのやりとり、問診を深めるようにしています。

3. 下半身の操体法

では、まずは足先から操体法を始めます。③④⑤ではふくらはぎや脛(すね)の前など、下腿部位の筋群のバランスを回復します。仰向けの姿勢で施術を行います。

③爪先とかかと

仰向けになります。両膝を立ててつま先を上げる。踵を上げる。どちらが楽か確認します。つま先が楽なら、上から軽くおさえてもらいながらつま先を上げてみましょう。

3・2・1でストンと力を抜きます。3回繰り返しましょう。足の位置を段々腰に近づけて、再度つま先を上げる、踵を上げる動作を確認します。楽な方に動かしましょう。さらにポジションを腰に近づけます。楽な方を確認します。足の位置が腰に近づくと踵が上げやすくなることもあります。

どうですか、これだけで足が軽くなっていませんか。操体法の初めにこの動き方から始めると力を入れる、力を抜く感じがわかりやすくなります。私は膝裏のしこりを触りながら最適なポジションを決めていますが、少し難しいので3ヶ所3回でやってみましょう。

④ 足裏の内返し・外返し

足裏を内側と外側に動かし(内反外反)動かしやすさを確認します。外側が楽に動くようなら足の甲から軽く手を当て抑えてもらい、外側に力を入れてみましょう。ここでも、3・2・1、ストンです。

⑤足の付根から足全体を内側・外側にねじる

つま先を立て足全体を内側外側に捻じります。内側外側、どちらの方が楽に動くか確認します。支えるようにテンションをかけてもらいながら、楽な方向に動かしましょう。

⑥から⑮では、股関節周囲から腰部背部までの筋群のバランスを回復します。

⑥片膝を立てて(約45度)内側・外側に倒す

片膝を立て内側外側に倒し、楽な方向を確認し動かします。支えてもらうと動かしやすくなります。外側が楽なら外から、内側が楽なら内から軽くおさえてもらい力を入れます。

全ての操体法は、楽な方向に楽な範囲で動かします。

⑦両膝を立てて(約45度)左・右に倒す

両膝を立てて右側左側に倒し、楽な方向を確認し動かします。

⑧両膝を立てて(約45度)腰の左右を上下させる

両膝を立てて腰の左右を上下させます。右側、左側、楽な方向を確認し動かします。

⑨腰・骨盤を前・後に突き出す

両膝を立てておへそを引いてお尻を持ち上げます。反対にお尻を下げて腰を反ります。楽な方向を確認し動かします。

⑩片膝を立てて(約90度)内側・外側に倒す

片膝を立てて、さっきより膝をお腹に近づけて角度を深くします。内側外側に倒します。倒し方が安定するように支えてもらうとやりやすくなります。外側が楽なら外から、内側が楽なら内から軽くおさえてもらい力を入れます。

⑪両膝を立てて(約90度)左・右に倒す

両膝をお腹に近づけて深くした角度で、両膝を右側左側に倒して体を捻じり、楽な方向を確認し動かします。

⑫両膝を立てて(約90度)腰の左右を上下させる

(⑧の動き方のポジションを深くします)両膝を介助者の膝の上に乗せて、右足左足と踏み込みます。楽な方向を確認し動かします。

⑬片膝を上げて(約120度)内側・外側に倒す

片膝を立てて、さっきよりもっと深く膝をお腹に近づけて、角度を深くします。内側外側に倒し、楽な方向を確認し動かします。

⑭両膝を上げて(約100度)左・右に倒す

両膝を深くお腹に近づけ、右側左側に倒して体を捻じり、楽な方向を確認し動かします。

⑮両膝を上げて(約100度)腰の左右を上下させる

深めのポジションで両膝を介助者の膝の上に乗せて、右足左足と踏み込みます。楽な方向を確認し動かします。

股関節の角度を深く変えていくことで、膝の位置を動かしたときに使う筋肉が変わってきます。浅い角度のポジションから三段階くらいに深くしていくと、ご自分でも使っている筋肉が違うことがわかりやすくなります。支えてもらわなくても出来ますが、支えることで動かす方向が安定し、より効果的です。

II. 次に上半身の操体法に移ります

このセクションでは、仰向けの姿勢で上半身の施術を行います。

⑰から㉒では、肘から肩の動きを回復させます。

⑰手首を前後に曲げる

手首からの操体法をしましょう。手首の背屈・掌屈で楽な方向を確認し動かします。同じように小指側屈・拇指側屈を確認します。腱鞘炎など前腕筋群のバランスを回復します。

⑱手首を内側・外側に回旋

手首を内側外側と捻じる動きで、楽な方向を確認し動かします。

⑲肘を曲げる・伸ばす

肘を曲げる伸ばす動きで、楽な方向を確認し動かします。

⑳肘を中心に腕を内側・外側に回旋

肘を90度に曲げ内側外側と捻じって、楽な方向を確認し動かします。肘を支えて楽に動く方向の反対側から抵抗をかけると、力が入りやすくなります。

㉑肩を中心に腕を内側・外側に回旋

肘を曲げて体の内側外側と肩から腕を動かし、楽に動く方向に動かします。

㉒片方ずつ肩を下げる・上げる

片側の肩を足の方へ下げるように動かします。右肩と左肩、楽に動かせる方を確認したら、楽な方の肩を下げながら、反対側の肩を上げるように動かします。介助者は、両手首を掴み、それぞれの腕に対して動かす方向の反対に抵抗をかけます。首筋から体幹のバランスを回復します。

㉓両肩を上げる・下げる

㉒の動作を、両肩で同じ方向に行います。両肩を上げる動作、下げる動作を行い、楽に動く方向に対して抵抗をかけながら動かします。

㉔手を上げる・下げる

肘から手首を支えてもらいながら、腕を挙げていきます。腕を上げる、下げる。どちらが楽か確認します。少し抵抗をかけてもらうと、力が入りやすくなります。


㉕から㉗では、首の操体法

㉕顎を上げる・下げる/顔を右・左に向ける/首を左右に傾ける

首の操体法に移ります。仰向けのままで枕を外します。顎を上げる、下げる。顔の右向き、左向き。頭を右に傾ける、左に傾ける。順番に楽な方向を確認し動かします。

㉖左右の足を伸ばす

右足、左足と踵から膝裏と伸ばし、楽に伸ばせる方向を確認し動かします。

背骨を支える脊柱起立筋群は、首から腰までつながっています。この左右の足を伸ばすストレッチングで脊柱起立筋群のバランスが良くなるので、首の動きが思いのほか楽になります。また寝違えた時にも、この方法でほぼ良くなります。

㉗顎を上げる・下げる

顎関節の操体法に移ります。少しだけ難しいので、しっかりやり方を確認してください。

小さく口を開け下顎を前と後に動かして、楽な方向を確認します。軽くおさえてあげて、楽な方向に動かして、3・2・1でゆっくり力を抜いてリラックス。ガクンと急に力を抜かないように気をつけてください。同じように小さく口を開けて、左右に下顎を動かして3・2・1でゆっくり力を抜いてリラックス。

スマホを使う時間が長くなり、下を向いている時間が長くなると、顎関節が固くなり口が開かなくなり、首こりや肩こりが増えます。この操体法で、軽い顎関節症も治ります。

III. うつ伏せの姿勢になりましょう

うつ伏せ姿勢になるときに、胸の下と足首の下にクッションを入れると、楽な姿勢になりやすいです。初めに確認したバランスが、仰向けの操体法で改善しているか観察します。

㉘つま先を外側・内側にひねる

片膝を曲げて踵からつま先を支えます。つま先を内側、外側と捻じって、楽な方向を確認し動かします。仙腸関節から腰に違和感のある方や、膝関節から足首に違和感のある方の違和感が解消されます。

㉙つま先を外側・内側にひねる(両足)

両膝を曲げて、両足の踵からつま先を一緒に支えます。右側、左側と捻じって楽な方向を確認し動かします。強い力で捻じる必要はありません。腰部から仙腸関節までの違和感が解消されます。

㉚ひざ下を後ろに立てて、内側・外側に倒す

うつ伏せで片膝を曲げて、内側、外側と倒してみます。楽な方向を確認し動かします。楽な範囲で支えてもらいながら、軽い力で倒します。

㉛ひざ下を後ろに立てて、右・左に倒す(両足で)

うつ伏せで両膝を曲げて左右に倒します。楽な方向を確認し動かします。

㉜つま先を立てて、かかとを踏み込む

うつ伏せでまず右膝そして左膝と、お尻に向けて曲げます。曲げにくい側の膝を伸ばしていきます。つま先は立てて、踵から突っ張るように膝の裏を伸ばします。両膝が曲げにくければ、両脚を伸ばしてもかまいません。腿の前(大腿四頭筋)のつっぱりが解消されます。

楽な方向に動かして治すのが操体法ですから、曲げて痛ければ曲げずに、反対方向に伸ばしていきます。

㉝片膝を体の脇へ持ち上げる

うつ伏せで右膝、左膝と順番に体の外側に引き上げるように動かし比べてみます。どちらの足を引き上げた方が楽か確認しましょう。楽な方向に楽な範囲で膝を引き上げていきます。足首を軽く引っ張るように支えてもらうと力が入れやすくなります。

反対側の足は、踵から伸ばすようにすると効果的です。左右の骨盤底筋群や腰部周囲の筋群の違和感が解消されます。

㉞腰を右・左にひねる

うつ伏せで左右の足は伸ばし、楽な姿勢になりましょう。骨盤を左右に捻じります。右のお尻を上げて、左のお尻を上げて、左右に捻じる動作を比べ、楽な方向を確認し動かします。軽く手を当てて抵抗をかけるように支えてもらうと、力が入りやすくなります。

IV. 座って仕上げの操体法

椅子に座っての操体法をしましょう。深く座って踵が着くくらいの高さの椅子が向いています。座っての操体法は、オフィスや移動中の電車の中などでも出来ます。下半身の動きは、すべて仙腸関節周囲の筋群のバランスを回復します。上半身の動きは、体幹筋群のバランスを回復します。

座っての操体法は全体の微調整的な動きですが、仕事中でも場所を選ばず気軽に出来ます。


まずは下半身の操体法から。

㉟片膝を前に突き出す

椅子に座って左、右と腰を順に前に出し、左右交互にひねります。楽な方向の膝を出しながら、ひねってみてください。

㊱片膝を上にあげる

椅子に座って足踏みをするように、右膝、左膝と順に上げます。楽な方の膝を上げ、手で軽く抑えます。反対の足は踏み込みます。

㊲膝を中心に足先を内側・外側にふる

椅子に座った姿勢で片足を少し引き、内側、外側と足を振ってみます。楽な方向に楽な範囲で動かします。支えてもらうと力を入れやすくなります。

㊳膝を中心に足先を内側・外側にふる(両足)

椅子に座った姿勢で両足をそろえて、左右に振り楽な方向を確認し動かします。


次に上半身の操体法をしましょう。

㊴頭の後ろに手を組み、肘を開く・閉じる

頭の後ろに手を組み、肘を開閉させ、楽な方向に動かします。

㊵頭の後ろに手を組み、腰を左右にひねる

両手を頭の後に組んで、体を左右に捻じり、楽な方向を確認し動かします。

㊶頭の後ろに手を組み、体を左右に倒す

両手を頭の後に組んで体を左右に傾け、楽な方向を確認し動かします。右に傾ける時は左のお尻に体重を乗せ、左に傾ける時は右のお尻に体重を乗せます。

これで操体法の治療は、ひと通り終わりです。

エピローグ

足から始める操体法の順序は、私が操体法をスムーズに進めるために考えた順序です。操体法は、楽な動きを探しながら進めていきます。楽な方向に動かすことが基本です。ストレッチでもヨガでも体操でも同じです。「楽なところは得意になって、痛いところは後回し、嫌だなと感じたらやめる」が大事なポイントです。痛いところをいじめても、絶対に良くなることはありません。

このテキストで操体法のやり方・動き方は大まかに出来るようになります。操体法は下半身から始めます。一箇所の痛みにとらわれず、体全体のバランスを回復することが、自分の身体とコミュニケーションを取り、元気に気分がよくなる最良の方法です。

操体法は『動診』と呼ぶ診察の助けにもなります。内臓の疾病から出る体の痛みは、楽な方向に動かしても治りません。また体を動かすことでは痛みが強くならないことも、多くあります。

僕が必ず確認することですが、痛みを訴える患者さんに「安静にしていて痛みの無い姿勢がありますか」とたずねます。痛みが無い安静な姿勢があれば、操体法を始めます。どこに体を置いても痛みがあるようだと、内科の疾患を疑いクリニックを紹介します。また操体法で改善がなければ、早めに内科の診察もすすめます。

自分の身体と向かいあい、コミュニケーションを取りましょう。あなたの意識や考え方を変えることが出来ます。そして、自分でやるセルフトリートメントから家族やチームなど周囲の人たちの健康まで、広く大きく考えましょう。

十年後のあなたの身体を守ってくれるのは、今日からのあなたです。「飽きずに、忘れずに、頑張り過ぎずに」続けてみることです。三日坊主も、十回やれば三十日です。

番外編:膝に水がたまる初期症状の改善、膝の疲労の改善

膝に水がたまる症状で悩まれている方が多くいますが、膝に水がたまる症状の初期状態の多くでは、まず膝裏に水がたまります。初期の症状が軽い状態であれば、動画に紹介する改善動作をすることで症状の進展を抑えることができます。

椅子に座った状態で膝裏に両手の指を差し込むように入れ、手の力で足を持ち上げます。そして膝下をブランコのように前後に振る動作を10回程度繰り返します。ひざ裏に差し込む指には強い力を入れず、足が持ち上がる分だけの力を入れます。

たまるばかりで逃げないことが、水のたまり・腫れの原因となりますが、この動作によって溜まった水が逃げる流れを作ることで症状の改善につながります。また、ちょっとした膝のハリや疲労の改善にも効果があります。

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