操体法って知ってますか?

仙台市におられた橋本敬三先生が色々な民族医学や東洋医学を学んで編み出したのが、操体法と呼ぶ運動療法です。

治療の原理はとても簡単、動画を見ながら是非お試しください。「楽な方向を探して体を動かそう」ということだけ。動画の順番でやっていくと驚くように関節や筋肉のこわばりがとれます。初めて治療を受ける方は「え、なんで……おもしろい」とだいたいの方が言われます。

一般に整体術やカイロプラクティックなど……指圧もそうかな。痛くないと治療じゃないと思っている方が多く、痛くしてくれなきゃ治らない、痛みを我慢すると治るんだ。と信じている方が多いように感じています。

操体法は「痛みを我慢してはいけない」「楽な方向を探して体を動かそう」が原則です。不思議なことに楽な方向に体を動かす。体を動かすって事は筋肉を緊張させるってことですが、痛みや不快感を感じる反対側の、楽な方向をさがして体を動かすと反対の痛かった方向の痛みや筋肉の緊張がとれます。簡単に楽になります。

「なんで楽になるの?」という質問に僕の答えは筋肉は勝手に緊張しているわけではなく、脳との情報のやり取りをして緊張しているからですよと答えます。「今は寝ているからこのぐらい緊張しておこう」「今座っているからここの筋肉を緊張しよう」「オ! 自転車か、ならこの辺を緊張させんといかんな」という按配に、生まれてこの方の学習によって、骨格がバラバラにならないように緊張し、スムーズに運動できるように緊張と弛緩をくりかえしています。

脳からの情報は0か1で緊張させるか弛緩させるか、コンピューターと似た仕組みを持っています。情報の交換がうまくいっているときはスムーズに動いて、極端にどこかだけに負担がかからないようにしてくれていますが、毎日の生活や仕事の習慣や環境で片寄った動きが多いと、同じ筋肉や関節に負担と緊張が出やすくなり、関節や筋肉、軟部組織に炎症をおこしやすくなります。

曲げて痛かったら、伸ばせばいいが操体法の基本です。筋肉の働きは拮抗作用でバランスを保っています。関節が一方に曲がれば、伸ばされた筋肉は伸びながら緊張して力のバランスをとろうとする。まあ、関節を中心にうまく引っ張りあいをしています。そこでこの拮抗作用を利用し、今まで痛かった方向と逆の方へ「楽な方に体を逃がしてあげる」「楽な方にぐっと力を入れてみる」これを3〜5回やってみると楽になります。うまくいかないときは動かし方を変えてみます。

「なんで……これで楽になるんですかね?」と質問されます。

何かの片寄った負担でいつも同じ筋肉や軟部組織に「緊張しなさい」「緊張しなさい」と脳から送られていた情報が、楽な方向に筋肉を緊張させることで、又は、意識的な強い緊張から弛緩に向かうことで脳からの情報がニュートラルな状態にもどりバランスをとりもどしていると考えています。

操体法は、簡単楽しい運動療法です。「痛いほうに体をいじめない」「楽な方に体を動かしてみよう」という運動療法です。「我慢しないと良くならない」はやめましょう。いろんな後遺症のリハビリもスポーツトレーニングも同じだと考えています。いじめてもそれほどの効果は上がらない。生き方も同じかな。「楽な」は楽しいなんです。「楽しい」を続けないと、なかなか良くなりません。

首が痛かったら首を動かしてみれば、膝だったら膝を中心に動かせばいいんですか? と聞かれますが。

この動画テキストの施術の順番はとても大事です。体のバランスは膝だけ肩だけがバランスが悪いという事はありません。膝が痛ければ腰の動きのバランスもくずれる、首の筋肉のバランスもくずれる。だから、膝だけ腰だけ治しましょうは無理があります。部分的な治療に効果は期待出来ません。まずは順番に全身のバランスを回復することが大事です。