暮らしとからだ

私たちのいまの暮らしは、昔に比べると、ずいぶん便利に、ラクに、豊かになりました。家電製品やモビリティの発達で身体の負担は軽減し、仕事も分業化されて、生活動作が単純化してきています。スマホやパソコンを長時間操作して、身体を使わないといった状況も見られます。

そのような暮らしの中では、知らず知らずのうちに、私たちの身体が日々歪んでいく傾向があるように思います。便利さや豊かさが、生活の中で偏ってバランスを崩してしまった姿勢や動作を「自然に治す」機会を、失うことにつながっているのではないでしょうか。

つい最近まで、3世代くらい前までの私たちの生活は、朝起きて水を汲み、薪を割り、火を焚き、炊事・掃除・洗濯をし、仕事や学校に行くときは歩きました。すべての生活動作は、家電や機械ではなく、人の力が中心でした。それは家族のみんなで分担しなければ一軒の家を維持できないほど、身体を動かす暮らし方でもありました。

そのころは、歩く道路も凸凹、掃除もハタキかけから始まり箒で掃き出しと、一日中全身をくまなく使っていましたので、身体は自然と元のバランスを回復することができたように思い返しています。

私たちは「便利さ・豊かさ」を享受する代償に、かなり意識して生活しないと、身体の歪みや偏りが強くなってしまう時代に生きています。「便利さ・豊かさ」のマイナス面での影響にしっかりと眼を向け、身体のケアはどうあるべきかを考え、日々実践することが大切と思います。