老人性の…/加齢による…

「病院でレントゲンとってもらったら、老人性の腰痛症なんていわれてガッカリしちゃった」
「アア、これは年寄りの膝だから手術しないと治りませんよ」
「歳だからね……」
などなど、幾つになっても年齢を理由にして症状を判断されるとガッカリします。

平均寿命が80歳を超えた日本で、40代50代の人にまで「年寄りの疾患です」などと言う医者がいることは、その医療者が患者の心のケアなんて考えていないことの現われです。ですから僕はそんなこと言う医者には行ってはいけないとはっきり伝えます。一言で受けた心のダメージがどんなに大きいかわからない人に治すための治療など出来ませんから。

僕の施術を受けに来る70代80代の方々は、なにもこれから「走りたい」とか「跳ねたい」とか言って治療を受けには来られません。

日常の生活を痛みがなくできて、時々は出かけたり旅行したり短い時間でも正座が出来ればいいわという希望を持って来られます。その為に本当に必要なのは意欲的にリハビリを続ける気持ちが大事です「年寄りの……」などと言われて、やる気が起きるでしょうか。たとえ手術が必要な疾患でもリハビリの意欲がなくては、手術のしがいが無いでしょうに。

このごろは、10回を1セットに、一日三回四股を踏むことを、皆さんにお勧めするのですが、これがとても効果があります。初めは椅子の背もたれや壁に手を置いて、ゆっくりと軽く足を持ち上げて下ろす程度から、だんだんと筋力が着いてくるとふらふらしなくなりますから。手を離して最後はお相撲さんを見習ってと、四股を踏むかっこうもさまになってくると本人もその気になってきます。なにより今まで昇り降りの大変だった段差が苦にならなくなると「このごろ、出かけるのが楽しいのよ」と表情や服装が明るくなります。「秋になったら走り回るかもしれないね」などと冗談を飛ばして「目指せ森光子」などと言っていると、案外「年寄りの…」などと言われたショックから立ち直ってくれます。

確かに、「加齢による疾患」はあります。体は年齢と共に老いるものであり、体は部品の交換が出来ないのですからいつまでも若いときの体力ではいられません。そんなことは皆さんわかっています。ただその年齢に見合っただけの生活の質を求めて治療にいらっしゃるのですから「これは年寄りの…」などとは言ってはいけないし聞いてもいけないと僕は考えています。