交通事故のむち打ち症を治せないわけ。

交通事故やスポーツ障害でむち打ち症(頚部捻挫)の症状を訴え来院される患者さんは多くおられます。数年十数年前の症状を発端に長く痛みを繰り返す方もおられます。

一般的な治療では頚部や背部の電気治療とマッサージ、ストレッチ指導などで患部を中心に施術治療されますが、一向に治らず初期の辛い疼痛や頭痛がおさまった程度の症状で治療をやめられた方が多くみられます。また3ヶ月程度で自賠責保険会社や医師・理学療法士から症状固定を説明され疼痛や運動痛が残ったままで治療をあきらめた方も多いと思います。

完治されることが少ない理由は、頚部のむち打ち症状は全身症状の一端なのですが、症状を強く訴える患部だけを施術治療しているから治せないと言うことです。(動画「上半身の操体法.S」を参考に見てください)

むち打ち症状は全身症状の一端ですから、下半身の操体法から始めて丁寧に体のバランスを回復していくと驚くほど改善されます。ほとんどの方が完治します。

なぜむち打ち症状は全身症状の一端なのか説明します。

運転中に後ろから追突された交通事故を例にしましょう。停車中は右足でブレーキペダルを踏んでいます。ハンドルは軽く握っています。顔は前を向いているか横を向いているかもしれません。突然後方から追突されるとその衝撃で体は前に飛び出しますがブレーキパッドを踏んでいる為、右足を軸に体を捻るように回転されます。シートベルトをしていても回転運動は抑えきれません。その後に体が後ろに戻る働きで首が前から後ろに鞭を振るように動く為に「むち打ち症」と呼ばれる症状があらわれます。むち打ち症は右足を軸にして体が捻りながら前後に振られることで強い症状になってあらわれるとも言えます。

衝撃が強かったりタイミングが悪いと当初から腰の痛みも強く訴えて来院される方も多くおられます。逆に追突されることに気づいている時の事故では車の破損の割に症状が軽いこともあります。

このように体全身の衝撃によって症状としてあらわれたむち打ち症を部分的な施術治療に留めていては、時間経過だけが患部の回復に役立っただけに過ぎない結果になります。足先から丁寧に操体法で体全体のバランスを回復させましょう。長い期間バランスが悪かった体は操体法の施術後に良い状態から悪い元の状態に戻ろうとすることもありますが、繰り返し操体法をすることで必ず安定した状態に回復します。一度に治そうとせず毎日少しやってみましょう。「リハビリはあきずに・忘れずに・頑張らずに」が大切です。