人間はお尻の大きな猿である。

「50肩もお尻の筋肉を鍛えて治す。」

人間はお尻の大きな猿である。マークローランズの著書「哲学者が走る」の中に出てくる格言です。猿人の仲間で二足歩行をする人間だけが大きなお尻を持っています。お尻の筋肉が、安定した二足歩行を可能にする重心移動のかなめになっていると言えます。

また骨盤の上に安定した姿勢で背骨を立たせるためにも、上下前後左右斜めとあらゆる方向に作用する骨盤内外の臀部の筋肉はかなめになっています。

お尻の筋肉が大事なことを実証するこんな例があります。

80代の女性が腕が挙がりにくいと来院されました。以前にお会いした時よりも姿勢は前屈みになり頭が前方に突き出すようになっていましたので、原因はすぐにわかりました。

椅子に座った状態で先ずは手を添えて腕を上げていくと、途中で引っかかる感じで痛むと言われます。前屈みにならないように背を伸ばしたまま立ち座りの運動を3回ほど繰り返し、腕を上げると痛みは解消されました。椅子に座った姿勢でも立ち姿勢でも楽に腕を挙げることができ、本人はびっくりされていました。(動画・生活動作を見直すを参照してください)

娘さんに聞くと最近は普段の生活で立ち座りの回数が少なくなり姿勢が悪くなったと言われます。肩の痛みのほかに偏頭痛も訴えると言われます。そこで、リハビリ通院されたときだけ運動しても生活動作を見直さなくては筋力はつかないことをご説明し、立ち上がり方座り方の指導をさせていただきました。

皆さんも試してください。初めに猫背で頭を前に出す感じの姿勢で両腕を挙げると腕は挙がりにくくなります。顔も左右に向きにくくなります。背筋を伸ばし顎を引くと楽に腕も挙がり顔も左右に向きやすくなります。

しかし意識的に背筋を伸ばしていると疲れます。良い姿勢が疲れる姿勢では本末転倒になります。そこで楽な良い姿勢をつくるために先ほどの、背筋を伸ばし前屈みにならないように立ち座りをすることが大事になります。座った時にも立ち上がった時にも、太ももの筋肉からお尻の筋肉が働き骨盤を支えていることが実感できます。お尻の筋肉が働いていると骨盤の上にきれいに背骨が立ち上がり、肩や首の筋肉がリラックスした状態をつくることができます。良い姿勢が楽な姿勢になるように動画を見て日々の生活がリハビリになるようにしましょう。