治療だけではなくコミュニケーションとしての操体法

自分の体とコミュニケーションすることが大事です。僕は毎日ではありませんが「今日は体硬いな」「疲れているかな」と思うと自分で操体法をします。朝のふとんの中でも、仕事の合間にもできます。操体法の良いところは、自分でできるってことです。先生に押さえてもらわないと出来ないよ、という方もいますが。僕は枕を押すように使って「楽な方に」力を入れたり、なれてくると押さえられているような気持ちで動かしたりして自分でやっています。

「パーフェクトな動きを創るには筋肉の繊維の一本一本にインテリジェンスを感じないといけない。操体法は筋肉のインテリジェンスを感じられるわ」と、つたない僕の英語力でわかるように言ってくれたオーストラリア人のダンサーがいました。

「自分の体のことは自分が一番知っている」などとうぬぼれていると、「もう駄目だ」まで気づかずにがんばりすぎます。操体法は、体の声を聞く簡単で楽しい方法です。自分で動かして楽になる症状か、そうでないか確認することが大事です。

大事なことですが、関節や筋肉の疲労・炎症・負担でおこった体のアンバランスは、脳との情報の交換で筋肉の緊張が出ていますから操体法でなおります。しかし、内蔵の疾病からくる腰の痛みや背中の張りは、脊髄の反射を介するので操体法などの運動療法では絶対と言えるほど取れません。この人は内科かな? と感じて、毎年何人かの方を治療にいらした当日か二日目には、内科の先生に紹介しますが、必ず内科的疾患を患っています。病院にかかっていても自分の症状を内科と思わずに、医者に訴えない人が多くおられます。

まずは操体法で自分の体とコミュニケーションしてみましょう。アアこんな感じってわかったら家族にもやってあげましょう。昔の人はうまいことを言って「人の痛みは三年我慢できる」なんていいますが、我慢するよりコミュニケーションするほうがすてきです。