個々の時間軸のずれが生み出すストレスと創造性

地球は24時間を時間軸として回っていますが、人それぞれの時間軸は違っていることを意識したことは有りますか。また個人の時間軸も場面の違いでズレが有ります。
例えば朝起きてしばらくの間は時間の流れを速く感じる方は多いかと思います。起床後しばらくは脳の情報処理が進まず動作に無駄が多くなり相対的に時間が足りなくなります。まして寝坊して焦って準備する時ほど時間の流れを速く感じます。
車の運転には個々人の時間軸が顕著に現れます。ハンドルを握った瞬間から性格が変わったようにイライラして急ぎはじめ危険な運転をする方もいれば、そんなにゆっくり走っては周りに迷惑になると思われるほどの運転をする方もいます。車の運転でイライラしやすい方や周りの車の流れに合わせられない迷惑運転の方は、運転中に自分の前の道に対する占有意識が強いのではないかと考えていましたが、実際には周囲の環境に自分の時間軸を合わせ難い性格を持っていると考えると生活全般での多くのことと関係性をもって説明することができます。

互いの時間軸の違いが生活全般に関する人間関係に現れる例えとしては、「性格が合う人合わない人」 「一緒にいて落ち着く人イライラする人」「グループ活動が得意な人苦手な人」「相談をしやすい人しにくい人」「人の意見をまず聞く人と人の意見にはまず反対をする人」などなどの例えがあげられます。結果として人間関係では会話や応対の中で創造性を感じることや会話を楽しむこともあれば考えを深めることもありますし、逆に強くストレスを受けることもあります。互いの時間軸を合わせることができるかできないか、そのことを意識できる人と無視する人では社会性という面での人間関係に違いが出てきます。恋人同士もお互いが相手のことを知ろうとする気持ちが強い初めのころは、こんなに気が合う人はいないと思い。付き合いが長くなり結婚し時間の経過とともに互いを知ろうとしなくなると、なんでこんなに気が合わない人と一緒にいるのかと思っておられる方は多いようです。私は必ずしも時間軸を他人や周りにいつも合わせなければならないとは考えていません。しかし時間軸を合わせる環境をつくることは意識するべき時が多々あると考えています。

車の運転の話を例えとしてあげましたが不特定多数の人が利用する道路には時間軸を合わせる工夫が多々見られます。速度規制や追い越し禁止はわかりやすいですが、変わったところではトンネルの中などにペースメーカーになるようにライト点滅させて速度を保たせる工夫もあります。いろいろな道路標識や工夫で不特定多数の人に同じ時間軸を意識させることで事故を減らそうとしています。そこに時間軸を無視した車両が現れると事故のリスクは一気に高まることになります。

グループ活動や会社組織でも時間軸を共有することは仕事の能率を高める傾向が認められます。しかし刑務所の様に起床・食事・休憩・睡眠とすべての時間軸を全員が共有すると個人の考える時間を奪い個性をはく奪するグループ活動や組織をつくることになる傾向が強くなることを意識し注意しなければなりません。新興宗教の合宿や社員研修やSNSを使ったリモート研修でも刑務所型合宿で洗脳教育に使われる手法のポイントは時間軸を奪い主催者のコントロール下に置くことです。悪意は無くても管理しやすい集団組織をつくろうとすれば主催者は個人の時間軸を奪っていることを意識する必要があります。時間軸の共有は仕事効率を高める傾向がある反面、個々の個性や発想の出芽を抑制し言うなれば考えることを放棄させます。同じことは家庭生活にも見られます。極端に父性母性が強く家族を自分の時間軸に矯正する家庭環境で育った子供は外見上良い子になるかもしれませんが個性の発芽は望めなくなり創造性や研究心が欠如し芸術的な発想がとぼしくなり言われたことはやるけれども言われないことはしないタイプの人に育ちます。

時間軸の共有が悪いことばかりだと言っているのではありません。共有した時間軸の記憶が楽しい物であれば家族の絆も深まります。有意義な時間軸を共有できていると感じれば組織の目標を達成することができます。すべての時間軸の支配ではなく、短い時間でも子供が小さいうちは朝晩の食事は一緒に食べ会話をする。就寝時間に読み聞かせをの時間をつくって会話を楽しむ。一緒に出かける。同じ映画を見る。同じ本を読む。一緒に考える。などなど短い時間の積み重ねでも時間軸を共有していた記憶が子供やパートナー、家族との信頼関係の基盤になります。グループ活動や会社組織、学校活動でも同じことが言えると考えます。一つの課題を解決するために仮想空間の中に全体が共有する一つの脳をイメージしブレーンストーミングをおこなうと短い時間でも自分自身が思っている以上の発想が引き出されることがあります。個々人の自由な発想の出芽が無ければ社会的停滞が始まりますが、他人と時間軸を共有する能力がなければ発想の発展はありません。家族であっても、他人の集まりである会社やグループであっても時間軸を共有できる環境や意識は必要だと考えます。

私たちは個々自分の時間軸を持っています。家庭の中でも学校や仕事場であっても、コンビニでの買い物でも、人とのコミュニケーションが必要な場面に限らず、コンピューターが受付をするホテルでも飲料の自動販売機にさえ時間軸のズレを意識するときにストレスを強く感じます。自分と関係する近しい間柄でも、すれ違う程度の他人とも互いに時間軸をある程度合わせる意識や能力がなければお互いがストレスを強く感じる場面や人間関係をつくることになります。

総論としてまとめるならば、私たちが個々他人の時間軸を矯正し自分に合わせることは難しいことですが、自分の時間軸を意識して周りに合わせる能力はあります。それは周りに流されることではなく平常心を保つことで周囲を観察する能力でもあります。ストレスを創造性へと昇華するために他人や他国と無駄に争わず共存共栄するためにも時間軸がそれぞれ違うことを意識し合わせる環境をつくる重要性を感じます。2024オリンピックも世界平和を実現する舞台とはならなくとも世界中の互いが同じルールを共有し時間軸を合わせていることを意識し競技に参加し世界中が観戦し同じ地球の時間軸に生きていることを意識できれば意味のある集まりになると願っています。