ストレッチングについて

ちかごろ「ストレッチング」という言葉も聞きなれてきて、昔やっていた柔軟体操と比べるとストレッチングのほうが現代的なイメージがしますね。

「1・2・3・4・5・6・7・8」の掛け声で、勢いをつけてやっていた準備運動が柔軟体操。ダイナミックストレッチと言います。ウォーミングアップ後、運動前のストレッチで関節の可動域を広げるための準備運動です。スポーツ競技の前にゆっくり伸ばすストレッチをすると筋肉の収縮性が悪くなりジャンプ力が低下すなどパフォーマンスの低下が認められ、運動前のストレッチでは早く伸ばす縮める動作の繰り返しをします。

運動後のストレッチは「一つ・二つ・三つ・・・十五・三十」とゆっくりと筋肉を伸ばしていくスタティックストレッチングを意識します。ですが「1・2・3・4・5・6・7・8」と掛け声そのままにダイナミックストレッチとをしている姿もよく見かけます。

ストレッチングの目的は大きく分けて二つあります。運動前のストレッチングは、筋肉の柔軟性と関節の可動域を広げ、ケガを予防するためにします。ストレッチングの前に充分なウォーミングアップをして、筋肉を温めることがポイントです。運動後のストレッチングは、筋肉の柔軟性を高め、筋肉の疲労を早く回復するために欠かせません。ストレッチングによって、4倍の速さで筋肉の疲労が回復するといわれています。運動後すぐか、入浴後など体を温めてからやりましょう。

ストレッチング教室にかよっている方も多いようですが、ストレッチングは毎日やるから効果が出るのであって、週一回やっても効果はありません。

このWEB動画でも股関節の周りに重点をおいて、全身の筋肉を大まかに伸ばす基本運動を紹介しています。基本的なストレッチングは他のストレッチングをする前に必ずやりましょう。筋肉の柔軟性と、骨格を支える筋力は幾つになっても必ず付きます。ストレッチングで骨格に適度にストレスをかけることは丈夫な骨を造ることにも効果があります。骨粗しょう症の予防にコラーゲンとカルシウムだけでは駄目で運動が必要です。

ストレッチング障害について

ストレッチングは、筋肉を伸ばして柔軟性を高める運動ですが、筋肉には伸ばされると縮もうとする性質、伸張反射という性質があります。運動後のスタティックストレッチングでは、この伸張反射が出ないようにすることが大事です。ですから「1・2・3・4・5・6・7・8」などと、明るく勢いをつけてストレッチングしてはいけません。ゆっくりと筋肉を伸ばし15秒から30秒数える。出来れば2セット繰り返しましょう。必ず楽にできるところから始め1セット目は軽く、2セット目は少し深くが基本です。

ストレッチの極意は「楽なところは得意になってキツイところは適当に嫌だなと感じたら止める」です。

ストレッチングは毎日やるから効果があり、柔軟性が増します。毎日のストレッチングで3%柔軟性が増しますが、一日何もしないと12%戻るといわれています。風邪で一日寝込むと、翌日体がきしみます。しかしこの頃気になっていることはストレッチングを主目的にした教室でストレッチング障害が増えていることです。

ストレッチングによって関節や筋肉を痛める症状をストレッチング障害と言いますが、毎日ではなく週一とか、時々やっている方に多く見られます。教室に行くと、先生は生徒さんを信用していますから 「毎日やっていましたか」 「はい」 なんて、優秀な生徒に先週より難しいことを教えてあげようなどと張り切って始めます。生徒さんは、毎日やっていなくても無理してついていこうとします。

特に複数人のグループレッスンでは、
「おとなりさん、やるわね」
「負けられないわ」
などと、変な意地が出てストレッチング障害を起こします。

ストレッチングは、自分に合わせて無理なく続けましょう。関節に痛みがくる、筋肉に気持ちいい以上の痛みを感じたら、無理せずにやめましょう。人に教えるときは「どう、これくらい出来るかしら」などと挑発しないように気をつけましょう。

ストレッチの極意は「楽なところは得意になってキツイところは適当に。嫌だなと感じたら止める」です。操体法と同じで、楽な方向をしっかりやれば、きつかった方向が自然と楽になってきます。

筋肉の柔軟性を増すことは、体液の循環を促す効果が大きく、ストレッチングを糖尿病、高血圧、リュウマチなど、成人病の予防と治療に勧める先生が増えています。

「養生は転ばぬ先の杖」皆さんも毎日10分ストレッチングしましょう。